Mr.HOLICの感想

ずっと気になっていたHOWL BE QUIETから新しいアルバム〈Mr.HOLIC〉が発売されるということで、先日購入し聴いてみた。

 

竹縄さんの恋愛観がギュギュッと詰まったアルバム。
既に聴いた方から共感の声が多くあがっている印象を受ける。

 

 

しかし、私はひとつも共感する部分がなかった。
正しくは共感できなかったのだ。


なぜなら本気で恋愛をしたことがないからだ。


過去の経験からトラウマになっているところがあり、
誰かを好きになることを恐れていた。
相手に嫌われて自分が傷つくことが怖い
という感情も勿論あるが、
それ以上に
自分が知らない自分が出てくるのが怖い
という感情が大きい。


友だちへの好き とは違う感情が出てくるのが恋愛だ。
これが自分だ と思っていたものがいとも簡単に崩れ去る。
自分自身を制御できなくなるのではないか、
醜い自分をたくさん知ってしまう、
好きな人のことを考えて苦しくなるのではないか、
そんな怖さが渦巻き、恋愛ということから避けて生きてきた。恋愛なんてしなくても生きていけると言い聞かせてきた。

 


そんな生き方を見直すきっかけをくれた。

 


嫉妬はとても醜い人間の感情だと思っていた。
相手を縛り付け、自分までも縛り付けてしまう、とても窮屈な生き方だと思っていた。

 


竹縄さんは嫉妬や束縛こそが恋愛だと言っていた。

 


自分の価値観が変わった瞬間だった。
勝手に思い描いていた恋愛が、自分自身を縛り付けていたのだと気がついた。

 

正直 恋愛なんて馬鹿馬鹿しい なんて思っていた。
しかし、様々な苦しみや怖さに立ち向かい、相手のことを好きだと言える、好きだという感情を認めている人たちがすごく人間らしく、尊いものだと感じた。
そう感じたときには、暗かった恋愛への感情も、いつの間にかキラキラしたものに変わっていっていた。

 


恋愛してみてもいいかもしれない
なんて思えた。
自分の感情に素直になってみよう
とも思った。

 

 

勿論、このアルバムには竹縄さんだけの恋愛観が詰め込まれている。
しかし先ほども述べたように共感の声も大きい。 

 

竹縄さんは 俺だけじゃなかったんだ と言っていた。

 

このアルバムが世に放たれる前までは、竹縄さんだけの感情だったものが、世に放たれた途端に共感の声が生まれた。
もしかしたらこのアルバムを聴いたファンの方のなかにも、自分だけではなかったんだ、竹縄さんもこんな恋愛観を持っていたんだ と安心した方がいるかもしれない。

 

私は共感さえ出来なかったものの
もっと自分の思ったままに恋愛をしていいのか、
嫉妬は決して醜い感情ではなかったんだ
という安心が生まれた。

 


もし竹縄さんが先陣をきって自身の恋愛観を披露してくれていなかったらきっと、私はこれからも恋愛をしてみてもいいかもしれないという感情は湧かなかったと思う。

 


だからすごく大切なアルバムになった。
自分から生まれる全ての感情に肯定して生きたいと思った。

 


お互いに依存しあって曲を奏でるHOWL BE QUIET
HOWL BE QUIETへ様々な感情を向け依存していくファンの方々。
その関係がとても素晴らしいものであり、

それがあるからこそ出来たMr.HOLICだと感じた。